【ユダヤの商法:誕生前夜】東大生の藤田田にユダヤ人は「オマエのエリート根性には一銭の値打ちもない」と斬り捨てた‼️ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【ユダヤの商法:誕生前夜】東大生の藤田田にユダヤ人は「オマエのエリート根性には一銭の値打ちもない」と斬り捨てた‼️

東大卒業と同時に藤田田が捨てた虚妄の世界

■わずか1年と短命に終わった山崎と日本マクドナルドを設立した藤田の違い

 藤田は、目標の100万円(現在の約3000万円)を貯める頃には、実業の世界へ「心眼」が開け出した。その経営哲学となったのが「ユダヤの商法」であった。ユダヤ人の蓄財法に次のようなものがある。

●ふくれた財布がすばらしいとはいえない。しかしカラの財布は最悪だ
●金銭は機会を提供する

 その後、藤田はGHQのユダヤ人と組んで通訳の他にサイドビジネスを始めた。英語に加え、ドイツ語も操れたたのが武器だった。大学2年になる頃、過分な外貨割り当てを受けてユダヤ人ルートで欧州に出張、ハンドバッグやアクセサリーなどを輸入し、百貨店などに卸すビジネスを始めた。これが1950年4月の「藤田商店」の設立に発展した。

  藤田は1951(昭和26)年3月、東大法学部政治学科を卒業すると、迷わず藤田商店の仕事に取り組んだ。まさに“裸一貫”からのスタートであったが、100万円の貯金が藤田を物心両面で支えたのである。

 1948年に東大法学部で出会った光クラブの山崎と藤田は全く異なる道を歩んだ山崎が東大法学部の現役学生の肩書きを徹底的に活用したのに対し、藤田は東大法学部卒業の権威や肩書きを捨て「銀座のユダヤ人」として生きた。さらに、藤田は米国マクドナルドと折半出資で日本マクドナルドを設立1971年7月に1号店を銀座三越に出店したのをきっかけに、日本中にハンバーガー文化を広めた。

 また藤田は1972年に『ユダヤの商法』を出版した。『ユダヤの商法』は、

「78:22の宇宙法則」
「女を狙え」
「口を狙え」
「首つり人の足をひっぱれ」
「懐疑主義は無気力のモト」

など、ユダヤの5000年の歴史のなかで蓄積されてきた知識・知恵を97カ条にわたって解説した“警世の書”だ。

『ユダヤの商法』には金儲けのノウハウをはじめ、脱サラしてアントレプレナー(起業家)を目指すヒントが詰まっている。藤田自身、ユダヤ人から商法を学ぶことで、ベンチャー企業「藤田商店」を立ち上げた。

 時代の転換期に求められる最大の資質は、藤田田のように東大法学部卒業の権威やブランドに頼るのではなく、個人の力でビジネスのタネを見つけ起業する、ベンチャー精神である。 《完》

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中村 芳平

なかむら よしへい

外食ジャーナリスト

外食ジャーナリスト。1947年、群馬県生まれ。実家は「地酒の宿 中村屋」。早稲田大学第一文学部卒。流通業界、編集プロダクション勤務、『週刊サンケイ』の契約記者などを経てフリーに。1985年学研のビジネス誌『活性』(A5判、廃刊)に、藤田田の旧制松江高等学校時代の同級生を中心に7~8人にインタビュー、「証言 芽吹く商才 人生はカネやでーッ! これがなかったら何もできゃあせんよ」を6ページ書いた。これがきっかけで1991年夏、「日本マクドナルド20年史」に広報部から依頼されて、藤田田に2時間近くインタビューし、「藤田田物語」を400字約40枚寄稿した。今回、KKベストセラーズの「藤田田復刊プロジェクト」で新しく取材し、大幅に加筆修正、400字約80枚の原稿に倍増させた。タイトルを「藤田田 伝」と改めて、『頭のいい奴のマネをしろ』『金持ちだけが持つ超発想』『ビジネス脳のつくりかた』『クレイジーな戦略論』の4冊に分けて再収録した。現在、外食企業経営者にインタビュー、日刊ゲンダイ、ネット媒体「東洋経済オンライン」「フードスタジアム」などに外食モノを連載している。著書に『笑ってまかせなはれ グルメ杵屋社長 椋本彦之の「人作り」奮闘物語』(日経BP社)、『キリンビールの大逆襲 麒麟 淡麗〈生〉が市場を変えた!』(日刊工業新聞社)、新刊にイースト新書『居酒屋チェーン戦国史』などがある。

 

 

 

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